デスバレー2006

ホームページのスライドショーを更新いたしました。(2020年5月1日)

今回の写真は随分前のものになりますが、私が風景写真に目覚めるきっかけになった撮影旅行でのものです。

私は2005年秋に一眼レフカメラを買い、手あたり次第写真を撮り始めました。

当時、アメリカに住んでいたので車で国立公園などに遊びに行き、そこで夫と共に風景を撮っていました。

そして、2006年、クリスマス休暇を利用してカリフォルニア州にあるデスバレー国立公園に行きました。

その頃の私はまだカメラの使い方もままならない感じで、先に写真を始めていた夫に付き合って撮っているだけの写真愛好家でした。

 

デスバレーには2回目の訪問でしたが、どこで何を撮ったらよいのかよくわからなかったのですが、砂丘は夫と共に気に入って何度も足が棒になるまで歩き回って撮影しました。

毎日行っても違う景色、違う光、違う空。

生きているようなその光景に心奪われました。

しかし、あまりにスケールが大きくて圧倒され、どうして良いかわからずにウロウロするだけの私。

そうこうするうちになんとなくどうすれば良いのかわかってきました。

とにかく、朝夕の太陽が低い時の美しさは格別で、きれいな風紋のある場所を探しまわりました。

他にも人はたくさん来ているので、足跡のない場所を探して奥へ奥へと歩き続けました。

もっと先にいいところがあるかもしれないけれど、無いかもしれない。

目の前に広がる風紋に足を踏み入れて先に進むか?

でもこの一歩の足跡が命取りになるかもしれない。

そういった迷いと共に勇気をもって決断しながらの探検でした。

夜明け前の暗い時間から歩き始め、朝日が差し込んだ一番美しい瞬間にきれいな風景の前に立ちたい。

その思いで毎朝毎朝砂丘に入りました。

 

ある日、風がものすごく強い朝がありました。

出発の用意をしていると、停電してしまい用意に手間取りましたが、なんとか出発。

しかし、車で砂丘に向かう途中、靄がかかって前が見えません。

霧が強い日なのかなぁ、と思っていたら、そうではなくて砂嵐だったのです。

デスバレーは、時々、ものすごい強風が吹き、砂嵐になります。

しかし、そんなことも知らず、無知な私達は果敢にも(無謀にも)砂丘の中に入っていきました。

そこで目にした光景がこれでした。↓↓

強風で足跡は消え去り、風紋はくっきりと浮かび上がり、舞い上がる砂が幻のような神秘的な景色を作り出していました。

しかし、バチバチと体に砂が打ち付けてきて痛い痛い!

砂が三脚に当たると静電気が起こって火花が散り、更に痛い。泣きそうでした。

それでもそこにある神聖な空間をなんとか撮りたいと必死で撮影。

レンズ交換なんてできませんでしたし、口にも鼻にも耳の穴にも砂が入ってきます。

何がなんだかわからない状況でしたが、貴重な体験をしました。

帰ってみると、カメラ機材もバッグもポケットも砂だらけ。

そして、これは家に帰ってからのことですが、三脚の雲台をダメにしてしまいましたし、レンズも不調。(やがて修理に・・・)

砂嵐に飛び込むなんていう無謀なことはやってはいけないことだったようです。笑

それでも挫けずに砂丘に撮影に行きましたが、私も写真を始めて1年しかたっていない初心者です。

さすがに6日目の朝には、夫に「もう飽きた。今日は行かない。」と駄々をこねました。

が、夫は凝り性といいますか、半ば変人(変態?)の域に入るくらい徹底して何かをやるタイプで、私を引きずるように連れ出しました。

確かに私も満足のいく砂丘の写真が撮れていない気がしていたし、最後の朝なのでなんとかステキな場所を撮りたいと思いなおし、祈るように砂丘を歩き始めました。

すると、祈りが通じたかのようにここは素晴らしく良いかも?と思う場所に出会いました。

しかも、素敵な場所が2か所あって背中合わせになっています。

そこを往復しながら撮影開始。

一つ目はこのサイト。

朝日が昇るに従って変化した風景は下。

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予想通りきれいな風景になってくれました!

 

もう一つは

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見た瞬間思わず「ドラゴン!」と言ってしまいましたが、面白い感じになってくれました!

 

この2つのサイトが同時に変化する様子を数枚ずつ撮影しながら忙しく走りまわりました。

最終日、疲れてはいましたが頑張って撮影に臨んだので神様がご褒美として出会わせてくれたかのような景色でした。

こんなことってあるんだ、と不思議な気持ちになったのを今でも覚えています。

そして、この最後の写真は後に出版することになる写真集「sand planet」の表紙になりました。

更に、夫は別行動でしたが、彼もまた素晴らしい場所に出会えたらしく感動していました。

その場所で撮影した写真をカメラ雑誌に投稿したところ、何かの「賞」をとることができた思い出の作品となったようです。

 

この撮影旅行をきっかけに何か見えない存在がもしかしたらいるかもしれない。

こちらの思いや頑張りで出会える景色も違うのでは?という考えが沸いてくるようになりました。

そして、頑張れば想像以上の素敵な出会いが待っているかもしれない風景写真というものの魅力にとりつかれることになるのでした。

 

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