サンカヨウに憧れて

今回は、先月、サンカヨウ(山荷葉)という花を探して長野県まで行ったお話です。

遡ること2022年のモンベルの春夏カタログの表紙の写真になっていたサンカヨウ。

(※↑画像はモンベルのWebsiteからお借りしました。)

濡れると透き通ってガラス細工のようになる美しい花を見て衝撃を受けました。

いつかこれを見てみたい! と、その表紙を切り取りしまっておきました。

先月、どこに写真を撮りに行こうかと考えているとき、ふとそのことを思い出しサンカヨウを探しに行ってみようと考えるようになりました。

どうやら高山で見れるらしいということ、いくつか見れそうな場所を調べた結果、志賀高原、栂池自然園などがあることがわかりました。

その中でも一番行きやすそうなのが、志賀高原。

少し前の情報でしたが、サンカヨウが咲いている、見てきたという投稿を目にしました。

下調べもあまりよくできないまま、週末、雨が降りそうなのはもうこの日しかない、と6月中旬に決行することにしました。

志賀高原の中でもサンカヨウが見れそうな場所はなんとなく特定できていましたが、もう少し詳しいことが知りたかったので、まずは志賀高原のインフォメーションセンターに立ち寄ってみました。

「サンカヨウを見たいのですが・・・」と尋ねてみると私が行こうと思っていた場所はどうやらサンカヨウはすでに終わって、花はもう無い、ということらしい。

が~ん!!大ショックです。

サンカヨウだけのために来たようなものなのに、空振りか??

ただ残っているとしたら、ケーブルカーに乗って標高の高いところにある植物園と何時間かハイキングをしてたどり着く池の近くに前日見たという情報を教えてもらいました。

そうでなければ野沢温泉スキー場に咲いているとSNSで見ましたよ、と係の方が教えてくださり親切にも知り合いの方に電話で確認してくださいました。

野沢温泉スキー場の頂上、ゴンドラ駅の近く、花は満開でものすごい人が来ているらしいとか。

でも、この日はもういずれの場所にも行けそうにないので、サンカヨウは次の日にするとして、簡単なトレッキングコースを歩いてみることにしました。

と言っても雨の中。そして「クマ出没注意!」というので鈴を2個鳴らしながらのハイキングです。

傘をさしての撮影はなかなか大変でしたが、千葉ではあまり触れることのない植生の森林浴はとても楽しく雨なのもあまり気にならずに歩くことができました。

まずは見たかった「たこ松」というコメツガの木の根。輝石安山岩を抱え込んでそびえたっていました。

カッコ良い♥

縦位置はこんな感じ。まさに蛸のようです。

なぜわざわざこんな岩の上に君は生えてるの??ていう感じですよね。

こんな素敵な岩と木に出会えて嬉しくなりました。

雨もはげしくなってきたのでこれより先には行かず、ぐるっと回って戻るコースを歩いていきました。

同じように根が立ち上がって空間を作っている木がありました。

そして、雨に濡れた葉っぱがきれい。

短い時間でしたがとっても癒される時間となりました。

志賀高原にはいくつものトレッキングコースがありますが、私が歩いたこの「まが玉コース」は信州大学が整備したものらしく、ヒカリゴケや私の好きは巨石があるらしいので、また機会があったら是非歩いてみたいと思います。

 

さて、サンカヨウはどうしいよう・・・

翌日、池まで2時間ほどのトレッキングコースを歩くか、ゴンドラに乗って植物園に行くか。

はたまた少しドライブして野沢温泉まで行くか?

どうしてもサンカヨウが見たい!

考えた挙句、車で近くまで行けて確実に咲いている野沢温泉まで行くことにしました。

志賀高原を後にして、野沢温泉に行く途中にある道の駅「花の駅・千曲川」で車中泊。

この道の駅が素晴らしく良くてなんとモンベルが併設されているという新しい道の駅です。

少し滞在するだけでも幸せな気分になれる素敵な道の駅でした。感謝。

 

さて翌朝、野沢温泉スキー場に向かいます。

実際に行くのはその更に上、標高1400mの長坂ゴンドラリフト駅付近です。

そんな上まで車で行けてしまうからすごいです。

情報が少なくどこに行ったらよいのかわかりませんが、とりあえずグネグネ山道を登っていきました。

もちろん雨です。普段、雨の時は撮影はしないことが多いのですが、今回ばかりは雨を狙っての撮影です。

そう、雨でなければいけないのです。

そして、雨が降ってもサンカヨウが透明になるとは限らない、という賭けなのです。

グネグネ走っていると途中から濃霧になり一寸先も見えなくなってきました。

そして、更に進むと道路の真ん中に黒いクマがいるではありませんか!

本当にクマがいる!!かわいい♥

パンダぐらいの大きさで、慌てて脇の森の中に逃げていきましたが、びっくりです。

そして、濃霧を抜けて頂上に到着。

早朝にもかかわらずすでに車が何台か停まっていました。

駐車場から5分も歩かない場所にサンカヨウの群生が出現しました。

この斜面↑の全面に生えているのがサンカヨウ。

早速、撮影しようと思いましたが、期待したほどは花が透けていません。

中途半端にマダラに透けていてあのモンベルの写真のようにはいきません。

それでも皆さんなんとか撮影されているので、私もきれいな花を探しながら写真を撮っていきました。

が、小さな虫が無数に顔にまとわりついてきます。

後から知ったのですがその虫は「ブヨ」で蚊よりも強烈に吸血して跡がひどく腫れてかゆみが続くものでした。

それをよく知っているサンカヨウ撮影熟練者は虫よけネットを顔に被って撮影されています。

そして長靴必須です。斜面はぬかるんで滑るのです。

私はトレッキングシューズに泥除けのカバーをかけていたので少しはマシでしたが、長靴の方がよかったかな?という感じです。

雨もパラつく中、斜面を滑りながらかがみながら探しながらのなかなかの重労働です。

そして理想の花がありません。

あまりにモンベルの花の印象が強すぎて、どの花も魅力的に見えません。

それでもなんとか撮影した写真を載せてみます。

一番透けていた花がこちら↓

白い花びらが不思議にも透明になってきれいですね~

 

下の花は形はきれいですが、完全には透けていません。

若い花は透けにくく散る寸前の古い花が透けやすいということらしいです。

それでも愛らしい花が無数に生えていて、どこを撮ったらよいのかウロウロしてしまいます。

こういった花の撮影は初めてで、どう撮ったらよいものか?

かなり低い位置にあるので、這いつくばっての撮影です。

ブヨがぶんぶんまとわりつくし、雨も降ってくるし、斜面は足場が安定しないし、機材は重く、更に人がドンドンやってきて集中力が続かなくなってきました。(ブヨに何か所か刺されてしばらく腫れとかゆみに悩まされました。涙)

とうとう挫けて撤収することにしました。

その時はわかりませんでしたが、無いものねだりをしないで、その目の前の花に集中して撮ってあげればよかった、と今更ですが後悔しています。

私は撮影する時、決めつけない、というのをモットーとしているつもりでしたが、すっかりサンヨウカはこういうもの、という固定観念ができてしまっていて、それでないものは撮れない、となっていました。

決めつけてしまうとそれ以外のもの、可能性が見えなくなってしまい、せっかくのチャンスを逃してしまいます。

これまでなんども痛い目にあっているので、とにかく決めつけないで臨機応変に対応すると思っていましたが、すっかり小さい殻に閉じこもってしまっていました。反省、反省・・・

 

さて、駐車場に戻り一休みしてから少しあたりを散策してみることにしました。

ゴンドラ駅の周囲は上ノ平高原と呼ばれいくつかのトレッキングコースがあります。

標高1650mの毛無山へのコースは人気なようで、サンカヨウ+毛無山に行く人がほとんどです。

でも、私はブナの原生林を歩く「ブナ林コース」を選びました。

この方向に向かう人は誰もいません。

少し怖いけれどひとりでクマ避けの鈴を鳴らしながら歩き始めました。

入口に入った瞬間、美しいブナ林に包まれます。

雨もパラついているので、靄のようなしっとりとした空気で神秘的。

少し歩くとひときわ目立つ大木に遭遇しました。

この木だけ黒い幹になっていて、「主(ぬし)」という貫禄でした。

立ち止まって撮影しているとクマが出てくるかもしれないので、時々、手で鈴を鳴らして存在を知らせます。

ブナ林コースは、時々、ブナ林を出てゲレンデのある草原を通ることがあります。

そこは靄がかかり幻想的な風景が広がっていました。

再びブナの森に戻り、帰ることにしました。

コース設定はありますが、全く案内板のようなものはなく、ネットで見た情報だけで歩きました。

なので本当にこのコースであっているのか不安になりましたが、なんとかもと来た場所に戻れたようです。

コースの終わりの方で見つけた木の根が素敵でした。

 

そして、いつものように記念撮影の自撮りをして帰ることにしました。

やはり緑の中に身を置くと本当に幸せになりますね。

クマには遭遇せず、やれやれでした。

 

ここから千葉の家まで帰らなくてはいけないので、そろそろ帰ることにしました。

雨の週末でしたので、それほど人出がなかったのか渋滞もほとんどなく帰ることができました。

楽しいショートトリップでした。

いつかきれいなサンカヨウが撮れるようにリベンジしたいと思います。

その時はブヨ対策をしっかりね。(蚊よけのスプレーは全く効きませんでした。ハッカが良いらしい。)

 

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